file6 長野市“お世話になった地域への恩返し”内川 明子さん
まるでスイスのような景色の長野市七二会(なにあい)に惚れ込み、移住から定住へ。
現在は、この地域の特産品である大豆(黒豆)やソルガムを栽培し、オリジナルのお茶を作り販売している内川さんをご紹介します。
長野市七二会。「なにあい」という地名すら知らなかった内川さんが、神奈川県から地域おこし協力隊としてここへやってきたのは2015年のこと。それまでは、スイスの農業研修を経て神奈川で福祉の仕事をしながら、漠然と「仕事を辞めて、長野にいきたい」「リンゴ農家なんかいいかも」と思い、長野県農大研修部(小諸)で始動した“農ある暮らし入門研修”の第一期生として、一泊二日で通いました。米、大豆、野菜、果樹の栽培や加工に至るまで実際に体験してみて、農業がそう甘くはないことにも気づかされた内川さんは、農‘業’ではなく、‘農ある暮らし’でいいと感じ、まずは移住のステップとして地域おこし協力隊という選択肢を選びました。
七二会在来種の黒豆の様子(9月初旬)
七二会の地域おこし協力隊のに活動内容は「森林資源の活用」。もともと、内川さんのおじいさまが林業に携わっていたことや、弟さんが森林組合にお勤めであったため、興味は持っていましたが、チェンソー講習や森林の伐採、薪づくりなど、すっかり林業女子に。本格的に林業と関わりながら、次第に特産品のソルガムの普及活動他、さまざまな取り組みを通し、地域の方との交流を深め、地に足のついた七二会暮らしにどっぷりと浸かっていきました。そして、3年の任期が終わったら「福祉の仕事をしながら、休日に田畑ができればいいかな」と思っていた内川さんですが、縁あって七二会の方とご結婚。地域おこし協力隊の開業支援金を利用し、ご自宅の隣にお茶の加工小屋を建て、週に1度、学童のお手伝いをしながら、黒豆やソルガムの栽培から加工・販売(直売所や知人のお店など)まで、ほぼ一人でこなしています。
自宅から離れたところに何人かで借りているソルガム畑。
「七二会のひとつひとつのパーツが面白い」林業に携わったからこそ知った誰も通らないような林道とそこからの眺めはまるでスイスのよう。観光地でも特殊な地域でもない、何もないところだからいい。「こうじゃなきゃいけない」もなく、住みやすさと居心地の良さがここにはあります。七二会は長野駅から30分以内、市内への通勤も可能。何もかも捨てるわけでなく、いろんなエッセンスがある中の‘田舎暮らし’が実現できる場所。高齢化率は60%、若い人はどんどん出て行ってしまうけれど、「住みたければ住める」ということを体現したい、と語ってくださいました。
「地域おこし協力隊として ここへ越してきて、本当にいろいろな人にお世話になった。今度は地域の取り組みとして、地域の一員として恩返しがしたい」という想いが、こだわりの黒豆茶というひとつのカタチになりました。七二会の穏やかなな時間の流れや雄大な景色が思い浮かぶような、身もこころもホッとする優しいお茶です。また、七二会ソルガムを銀座の有名なフレンチレストランのシェフに使っていただき、雑誌でも紹介されたりと、着実に地域の一員として活躍されています。
今は飽きずにいろんなことができる反面、仕事をしていたころよりずっと目まぐるしい日々。内川さんの地域おこし協力隊の任務はすでに終了していますが、きっとこれからもずっと、七二会のみなさんに寄り添う「協力隊」で在り続けるのだろうなぁと思いました。
ご自宅からの最高の眺め
農ある暮らし相談センターアドバイザーの山村が、県内にお住まいの皆さまのお宅に伺い、取材させていただいたものを記事にします。
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