信州農ある暮らしお宅訪問ブログ

長野県内の‘農ある暮らし’実践者を取材しご紹介します。また‘農ある暮らし’の魅力を様々な角度からお伝えするブログです。

File7 長野市“静かな里山のクリエイティブな古民家暮らし”青木宏之さん・理江さん

長野市大岡の山の古民家に移住して8年目。四季を体感し、自然の恵みを受けながら、それぞれの創作活動に没頭する青木宏之さん・理江さんご夫妻をご紹介します。

 

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お二人は東京育ち。神奈川でフリーのイラストレーター・グラフィックデザイナーとして働きながらも「いずれは田舎暮らしがしたい」という思いを抱いていました。
 

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長野の友人宅を訪ねた後に、たまたま通りかかった大岡から見える北アルプスの景色に心奪われ、神奈川に戻ってからもその景色が忘れられず、二か月後には田んぼ付きの古民家を購入。必要最低限のリフォームをし、大岡での古民家暮らしが始まりました。

 

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理江さん作の表札、宏之さんの作のワクワクするような郵便受けなど、至るところにお二人の作品が散りばめられられていて、明るい宏之さんの絵は、暗いイメージの古民家をパッと引き立てています。
また、ご自宅や周辺の豊かな自然の中で、心身の癒しや健康を取り戻す独自の‘ヒーリングプログラム’も予約制で受け入れています。

 

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幼い頃から絵を描くのが大好きだった宏之さんは、美大や専門学校への道は選ばず、大学の文学部を卒業されました。就職したのち、当時アートのメッカだったN・Yを中心に周った一ヶ月間のアメリカ横断旅行で、生き生きと表現する人々を目の当たりにし、勉強ではなく「とにかく“自分”」「勉強より実践」ということを学び帰国。その後、イラストやデザインの仕事を経て、現在は「描きたいものを描きたい」と、瞑想から得たイメージを描き、ポップな色合いの独創的な世界観を作っておられます。
理江さんは、グラフィックデザイナーの傍ら、陶芸やヒーリング、アロマ、ハーブなど様々な創造性を身につけてこられました。

 

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自宅の横にあった傾いていたカイコ小屋を「リノベ塾」として人を集め、大工さんを講師に迎え、自分たちの手で改修したというアトリエは、モノづくりには理想的な、なんとも羨ましい空間。美しい景観、良い音楽、それに静けさ…。一階は理江さんの陶芸スペース、二階は宏之さんの音楽とアートのスペース。冬でも制作に打ち込めるようにと、薪ストーブを導入し、外には譲ってもらった中古の灯油窯も設置しました。



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移住前には陶芸教室の講師も務めていた理江さんの作品

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二階からは、北アルプスと棚田百選に選ばれた棚田が望めます。

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農作物については、移住前から他県の自然農と長野県の自然農を学んでこられました。田んぼは宏之さんの担当。一昨年までは紫米やもち米も作っていましたが、今年はコシヒカリササニシキ、ササシグレを栽培。手植えのハゼ掛け米です。
畑は理江さんの担当。当時はスコップも刺さらないほどの土でしたが、今ではいろいろな方法を試しながら、無理をしない自然農法で育てています。育てる大変さを知ったからこそ、生長する過程も雑草さえも愛おしく思えるとおっしゃいます。

 

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「都会の暮らしは「買うこと」で‘豊かさ’を得るもの。
 ここで暮らしていると「本当の豊かさ」に気づく。」

 

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「こういう里山で、少しでも自給的な暮らしをする人がもっと増えれば、日本の自給率はわずかながらでも上がっていくはず。現代社会が失ってしまった‘豊かさ’を取り戻せたなら、もっと日本が良くなると思う。」

今ではこの集落の住民の約半分が移住者だそうです。地元の方には当たり前の景観も、外から来た人にとっては、移住の決め手なる大きな要素。

 

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自然農の畑では、ミニトマト、ズッキーニ、パプリカなどが採れます。へちまはスポンジに。油汚れも落としてくれる優れもの。

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これからは白菜・かぶ・小松菜・大根・などがとれます。

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家の前の坂道をサワガニが横断してました。
一日一日がゆっくりと過ぎてゆくけれど、一年一年があっという間。  

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町育ちだったお二人にとって、日々変化している季節の移り変わりを全身で感じることができるのが今の暮らしの何よりの魅力。そして、お米と野菜のおいしさはもちろん、雄大北アルプスと家庭用水を賄えるだけの豊富な湧き水に恵まれ、自然の恵みや循環を大切にできる暮らしがここにはあります。アートも陶芸も米や野菜を育てることも、すべてが“暮らし”の中のひとつのシーン。 
“自然”という大きな舞台の上の古民家で、これまで蓄積してきたお二人の創造性が解き放たれ、調和し、これからもますますエネルギッシュに生み出されていくのだろうと感じました。豊かな自然、農ある暮らしから生まれる本当の豊かさ、エネルギー、そして全てにつながるクリエイティブな精神がひしひしと伝わってきました。

 

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