File15"自然と共生する生き方の選択" 東御市 鶴見 利明さん・恵子さん
東京・板橋区で生花店を営んだのち、新拠点として選んだこの地で、好きな植物に囲まれながら、こだわりの野菜作りに没頭する鶴見ご夫妻をご紹介します。
鶴見利明さんは、コンピューターの会社に就職しましたが、毎日満員電車に揺られ会社で仕事をこなしているうちに体調を崩してしまいました。それを機に次の就職を考えた時「花屋になろう」と思い立って、都心の一流生花店の門を叩きました。
「花屋は戦争と一番遠い職業だと思ったから」と利明さんは当時を振り返ります。
「今年の大根はすごく良くできた」と嬉しそうな恵子さん
その後、板橋区に自ら花屋を開業し“原生花園”と名付けました。“原生花園”とは、人の手を加えず草原や湿地帯など自然そのままのお花畑のこと。ネーミングからも、鶴見さんの自然を愛する心が伝わります。そんな“原生花園”は、長い間愛され続けてきましたが、お二人は以前から「年金を受け取る年齢になったら’農ある暮らし’がしたい」という夢を抱いていました。
タマネギとニンニクのビニールマルチの植え穴には、県内キノコ工場の菌床栽培が終わったあと廃棄されるオガクズをまいています。価値を見出さなければ産業廃棄物になってしまうオガクズも、マルチングの他、庭のウッドチップ代わりにするなど有効活用。
お二人は夢の実現のため他県も含め慎重に移住先を検討し、40年続いた“原生花園”をたたみ、上田市での仮住まいを経て、東御市の物件に巡り合い移住しました。移住後は、小諸市の長野県農業大学校「農ある暮らし入門研修」にご夫婦で参加され、基本的な農作業に加えてトラクターやバックホーの免許も取得、ここではバラと宿根草をメインにした庭づくりと、農薬不使用の野菜づくり、環境に優しい自給的な暮らしを実践されています。庭に畑にハーブに果樹に…と、憧れはイギリスの農家の庭”コテージガーデン”。
移住してきた当初は、原野・山林状態だったところを開墾し、日々試行錯誤を重ねながら少量多品目の作物を栽培。多くできたものは直売所で販売しています。
主に、野菜とバラは恵子さんの担当、樹木と果樹は利明さんが担当とのこと。
薪ストーブ用の薪は、チェンソーと薪割り機を使って常にストックし、敷地内のふんだんな落ち葉で毎年腐葉土づくりも欠かせません。
それから、こちらは最近恵子さんが研究を重ねている"ミミズコンポスト"
家庭からでる生ごみのは働き者のミミズたちによって、肥沃な土へと循環。
もともとバラが大好きだった恵子さんは、寒さに強く香りの良いものを選んでいるそう。絶滅危惧種の‘サンショウバラ’やオールドローズ他、さまざまなタイプのバラ約60種が植わっています。
「エネルギーも消費するだけの暮らしではなく自給自足」年々増えている災害に備えるためにも、鶴見さんがこの地を選んだ決め手でもあったのが、太陽の力。このあたりは太陽光に非常に恵まれ、晴天率も高いエリア。太陽光発電で副収入を得ています。
また、乾燥した地域のため「雨水ます」を設置し、庭や畑で使う水は全て雨水を利用。
吹き抜けの二階は見晴らしが良く居心地の良い空間。棚には本好きな利明さんの本がぎっしりと並び、自然や園芸に関するものもたくさん。この地は、本で読んだ南フランスのプロヴァンスの気候によく似ているそうで、自分で作った野菜で生活するには非常に恵まれた土地’であると実感されています。
外装の色にもこだわったというご自宅の玄関には、恵子さんが庭木で作った星形の壁掛けが素敵でした。将来は「ご自身の庭でとれた草花でアレンジ教室をやってみたい」「無農薬の果樹栽培を成功させてみたい」「ワイン造りをしてみたい」「最近弱り気味のバラをもっと元気にしてあげたい」お二人の絶えない夢や目標と、たゆまぬ日々の努力と挑戦には脱帽でした。いつしか"鶴見流農ある暮らし日記"が出来上がるのでは、と期待したいところです。
農ある暮らし相談センターアドバイザーの山村が、県内にお住まいの皆さまのお宅に伺い、取材させていただいたものを記事にします。
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