信州農ある暮らしお宅訪問ブログ

長野県内の‘農ある暮らし’実践者を取材しご紹介します。また‘農ある暮らし’の魅力を様々な角度からお伝えするブログです。

File16"想定外の人生を楽しむ" 長野市 玉川美雪さん

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白ワインブドウ品種の竜眼(リュウガン)に惚れ込み、横浜からブドウ農家に嫁ぎ奮闘する玉川さんをご紹介します。

 

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中古で安く購入し、ご主人が塗装した運搬車が目を引きます。

 

玉川さんは横浜で生まれ育ち、若いころから石油商社の総務の仕事に長いこと携わっていました。管理職にもなり、このまま独身でいるんだろうと思っていたところ、会社の同僚を通じて今のご主人と知り合いご結婚、そして2019年2月に退職し家族や同僚にも驚かれるような‘農家の嫁’として長野市での新たな暮らしが始まりました。天気やブドウに合わせ、体を動かす仕事は大変であっても、これまで自分の机や頭の中で済んでいた仕事に比べイライラしたりストレスを感じることはなく、手をかければかけただけ跳ね返ってくるのが楽しいと、笑顔で話してくださいました。

 

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収穫した果房は全体を注意深くチェックし、傷んだ粒など取り除きます。

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近年のワインブドウは、ヨーロッパのような垣根栽培がメジャーですが、この‘竜眼’は果房が大きいため垣根栽培には不向き。棚仕立てでは中腰作業も多くなります。
県内で竜眼を生産している農家さんはたった数軒。たまがわ葡萄園ではおじいさまの代から約40年栽培し続けていますが、今は生食用ブドウの生産がメイン。できれば、もっと土地を増やし、リュウガンを作り、地元に開業予定のワイナリーで地元産竜眼100%のワインを作りたいと、玉川さんの夢は膨らみます。

 

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ワイン用ブドウとはいえ、1本の新梢に1果房だけをつけるように仕立て、日焼けと病気の予防の為ひとつひとつの果房に雨よけをするなど、手をかけ、丹精込めて品質の高いブドウを生産します。赤い粒の方が甘そうに見えますが、実際は黄金色の粒の方が甘いそう。

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竜眼’は、甲州ブドウと同様に、シルクロードをたどって日本に渡来し、明治初期に長野市近郊で栽培されたものとされています。一度は絶滅寸前になったものの、甲州ワインに似た良質のワインができることから県内各地で栽培されるようになり、のちに長野市内で作られたこの品種は‘善光寺ブドウ‘という名でも知られるようになりました。現在は長野県のみで栽培され、いくつかのワイナリーで竜眼を使用したワインが作られています。古くから、この地で栽培し続けてきた在来品種であるため和食との相性も良く、日本酒のような味わいとも。竜眼自体は淡泊な風味で非常にデリケート。それゆえ、どんな味にもなり、ごまかしがきかないそうで、作り手にとっては、難しくも魅力的なブドウです。玉川さんは、もともとお酒には詳しいわけではないけれど、竜眼から作られたワインのその飲みやすい口当たりに、純粋に「好き」と思ったそうです。

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こちらへ来てから玉川さんは、ワインブドウの栽培、醸造テイスティング、経営に至るまで、東御市にある「千曲川ワインアカデミー」で一年間学び、ワインづくりの現実を知りました。「自分のワイナリーまではできなくても、とりあえず生産者として"いいブドウを作ること"それならできそうだと思った」と語ってくださいました。
これまで農業に興味を持たず、経験もなかった玉川さんが、昨年は除草剤を使わないお米作りや、農薬を使わない野菜作りに挑戦できたことも楽しく、そこで「作る人の体にも良い方がよい」と実感したそうです。

 

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冬場はご主人と共にスキーのインストラクターの仕事をしたりと、体で自然や季節を感じながら過ごす日々に、とても生き生きしている印象でした。また、もともと車の整備工をしていたご主人は、ロケットストーブの受注生産も行っており、もちろんご自宅や仕事場でもこのロケットストーブが活躍しています。
「人生の選択肢になかったから選んだ」という、玉川さんの想定外の人生。これからますますこの地で楽しんでいかれるのだと感じました。

 

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