信州農ある暮らしお宅訪問ブログ

長野県内の‘農ある暮らし’実践者を取材しご紹介します。また‘農ある暮らし’の魅力を様々な角度からお伝えするブログです。

File23“3足のわらじで駆け抜く”小谷村 井上 聡也さん

 

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大阪から、小谷村の地域おこし協力隊を経て、小谷村に定住・新規就農した井上さんをご紹介します。

 

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左:北小谷駅 
右:そこからほど近い自宅には焼き鳥のキッチンカー(協力隊の開業支援金を活用)

 

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もともと信州が好きだった井上さんは、若いころから農業にも興味があり、ある時大阪で開催された‘農業人フェア’に参加しました。そこで言われた言葉は「農業は簡単ではない。まずは何か仕事に就いてみたらどうか」という辛口なアドバイスでした。そこから焼き鳥のチェーン店に就職。その腕を認められ、いつの間にか9年が経ちました。

 

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8月半ばに定植した雪中キャベツの10月半ばの畑。

 

趣味のスノーボードのために、よく白馬方面を訪れていた井上さんは、本格的に移住を検討するために、長野県移住フェアに参加。そこで小谷村のことを初めて知り興味を持ったところ、ちょうど小谷村で、農業分野での地域おこし協力隊の募集があることを知り応募、採用されることになりました。

 

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平成29年から地域おこし協力隊として3年間、小谷村での農業を体感し、経験を積みんだ井上さんは任期を終えた後も定住し、新規就農。二年目になる今年は小谷のブランドである雪中キャベツ、長ネギを各10aほど栽培しました。

 

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「大変だと感じることがない」とにこやかな笑顔で話してくださる井上さん。苦労を苦労と思わず、ポジティブにこなしていたっしゃる姿が印象的でした。

 

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また村内のブランドである‘小谷野豚’の生産者が年々減少していて、存続の危機にあることから、後継者としてやってもらえないかと、井上さんに白羽の矢が立ちました。畜産経験0であったものの、1から学びながら50頭の放牧豚を肥育し出荷しています。その精肉は村内の定食屋さんでも提供されており、地産地消の連携がとれています。

 

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また、これまでの焼き鳥屋勤務の経験を活かし、キッチンカーの焼き鳥屋さんを始めました。小谷村には集落が多く存在し、その集落ごとのお祭りごとに呼ばれたり、地元での定期的な出店を通し、地元のみなさんに愛されています。自ら栽培しているネギはネギマにして販売、合鴨農法の米作りで活躍するアイガモも今後は焼き鳥にしたいと考えています。

 

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井上さんならではの半農半○△。実際のところは、農業収入、養豚の経営の厳しさなど痛感しながらも、もう一つの生業である焼き鳥屋での利益を主軸に、暮らしていらっしゃいます。「百姓とは百の生業をもつこと」そんな言葉が頭に浮かびました。

 

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2m以上の積雪と雪中キャベツ

www.youtube.com

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2月の雪中キャベツの収穫体験(北アルプス地域農ある暮らし動画撮影より)

 

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今年、雪中キャベツとして出荷できたのは100個ほどだったそうです。雪も多く、この日は2mを超える雪の中から掘り取り作業。一つ掘りだすにも大変なのに、普段は重機も使わず全てお一人で作業されていて、大好きなスノボもお預けで、腕がパンパンになってしまう真冬の農繁期だそうです。

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井上さんの温厚でにこやかなお人柄、苦境でも大変と思わないポジティブな姿勢ゆえに、この小谷村で支い合える関係性を協力隊時代から築くことができたのだと思います。これからますます活動も関係性も発展してゆくように感じました。

 

 

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