信州農ある暮らしお宅訪問ブログ

長野県内の‘農ある暮らし’実践者を取材しご紹介します。また‘農ある暮らし’の魅力を様々な角度からお伝えするブログです。

File8 塩尻市 “豊かさを育む上西条の暮らし”一ノ瀬 素也さん

塩尻市上西条。生まれ育ったこの地域の豊かな自然と、受け継がれてきた人と人とのつながりや文化を守り、次の世代につなげようと情熱を燃やす一ノ瀬さんをご紹介します。

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昔から人一倍正義感と責任感が強かった一ノ瀬さんは、地域社会に貢献したいという思いから植物や造園に興味を持ち、高校卒業後埼玉県にある「テクノ・ホルティ園芸専門学校 造園緑化コース」にて二年間、園芸・造園の基礎から、デザインや製図、フラワーアレンジメントに至るまで、実践的な技能を学びました。

 

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就職先の造園会社は東京・麻布。主な仕事は個人庭園の他、護国寺、鎌倉東慶寺をはじめとする寺院の日本庭園の作庭や管理で、在学中に取得した「造園技能士二級」の資格が、ここでの仕事に大いに役立ったそうです。自然豊かな塩尻と都会では、庭への目線も違い、常に良いものに触れながら洗練された美意識と技術を身につけてきた一ノ瀬さんですが、兄弟がみな離れてしまったご実家のことを考え、3年弱で上西条へと戻ってきました。

 

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塩尻に戻ってからも造園業に携わっていましたが、結婚を機にかつてお父様も働いていた地元の製造業の会社へ転職。二児の父となり、週末庭師として個人庭の管理を行うほか、過疎化の危機にある地域のためにと、2018年12月に、同年代の仲間を巻き込み「手つなぎラボ」を発足させました。

 

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長女の幸保ちゃんは、農作業や身近な生き物と触れ合うことが大好き。

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上西条の豊かな暮らしを、丁寧に我が子につないでいる姿が印象的な親子三世代の姿。専門学校の後輩であったという奥様は市内のワイナリーのブドウの栽培管理の仕事をされています。上西条には「農村しかない」けれど、稲刈りも一つのシーンとして残していきたい大切な文化。

 

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 発足のきっかけは‘地域の伝統行事の担い手不足’。地域の過疎化を食い止めるための地域おこしとして、まずはお祭りの見直しや運営に携わったり、フードロス対策を兼ねた軽トラ市など、地域を盛り上げる活動を行いました。コロナ禍で、今年はほとんど活動ができない状況ですが、今後の活動や暮らしを見つめ直す良い機会。農業体験、空き家対策など、人口が減少してゆく中でも、可能なかぎりそれを食い止め、地域を活性化させたいと、内なる熱い思いを語ってくださいました。

 

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当たり前に思っていたこの景色も、決して当たり前ではなく、意識して誰かが手を加えていないと保てない景色。ここには豊かな自然があり、‘農ある暮らし’ができる土壌があること。駅やインターにも近く、松本や岡谷に通勤するには便利な場所であること。家族同士・村人同士のつながりがあること。そんな魅力を子育て世代や市街地で暮らす人々に伝え興味を持ってもらいたい。また、上西条を離れていってしまった人々にも見直してもらいたいのだと、自ら一度故郷を離れ、上西条の魅力に改めて気づくことができたからこそ、ひとつひとつの言葉に説得力があります。

 

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 互いに支え合い、助け合って生きてきた人々の暮らし。現代社会、とりわけ都会では失いかけている本来の人間同士の関わり、地域や自然環境との関わりが、「つながりが暮らしを豊かにする」という一ノ瀬さんの思いから、手をつなぐように連鎖し、地域全体の大きな輪となり、上西条の豊かな暮らしがこれからもずっと育まれていくのではないかと思いました。

 

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