信州農ある暮らしお宅訪問ブログ

長野県内の‘農ある暮らし’実践者を取材しご紹介します。また‘農ある暮らし’の魅力を様々な角度からお伝えするブログです。

File12"イギリスと日本の文化が織りなす古民家暮らし"長野市 アダム・スミス、陽子さん

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イギリス生まれのアダムさんと東京生まれの陽子さんが、21年前に長野市七二会の山の古民家に移り住み、作り上げてきた"田舎暮らし"をご紹介します。

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陽子さんは、東京でホテルの調理の仕事に就きましたが、ある時仕事を辞め小学生の時から憧れていたイギリスの港町へ単身留学しました。そこで出会ったのが、ご主人のアダムさん。アダムさんは陶芸の窯元で働きながら、陶芸の技術を身に付けました。一年後、お二人は一緒に日本へ帰国。陶芸を続けたいというアダムさんの思いを知った日本人留学生の紹介で愛知県豊田市の窯元を紹介され、豊田市へ住むことになりました。

 

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豊田では、窯元に通いながら石材屋さんで働いた後、ご夫婦で個人英会話教室を始めると、たちまち忙しくなりました。そんな中訪れた信州のアルプスの景色と豊かな環境にアダムさんは感動し、いずれリタイヤしたら「自分たちの手で古民家をリフォームし、陶芸・畑をやりながら、こんな景色を見ながら暮らしたい。」そう思ったそうです。

 

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一方陽子さんは「やりたいことがあるのに、どうして今やらないの?」と疑問に思い、さっそく夢の実現へ向けて二人で動き始めることになりました。当時は情報が少なく、市町村も今のように移住への支援体制も整っていなかったため、頼りになるのは「田舎暮らしの本」に載っている物件くらい。不動産屋さんに片っ端から電話をして休みの度に長野県の物件をみて回り、知人の紹介でこの物件に巡り合ってからの一年間、英会話教室で資金を貯めました。

 

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ベジタリアンのアダムさんが作るイギリス生まれのスコーンやショートブレット。近年話題のビーガンもイギリスが発祥とのことで、ソルガム粉と小麦粉のブレンドに米油を使用。七二会の特産品である‘ソルガム’の栽培や普及活動にも力を注いでいます。

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「あだむさんち」のカフェ(現在は営業縮小)と一棟貸しの宿泊施設にて、自家菜園や七二会で採れた素材を丁寧に調理して提供しています。ビーガン料理を出すお店が少ないため、最近はビーガンご希望のお客様が増えていたり、通常は海外のお客様がここを拠点に滞在し、長野や松本の観光に出かける方も多いそうです。 その他、デトックス効果があるプチ断食プランや、アダムさんによる英会話レッスンに加えてイギリスの家庭料理や文化を満喫できる英会話滞在プランもやってらっしゃいます。

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ピザ窯もアダムさんお手製。
蔵の一階部分が工房、二階がギャラリー。

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ソルガムの葉や茎の灰も釉薬として活用。

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昔からモノづくりが好きだったアダムさん。高校時代は大工になろうと専門的なカレッジに通いました。当時は不景気で就職先がなく、窯元で働くことになりましたが、結果的に全ての経験がここで生かされています。日本の古民家を楽しみながらリフォームしたり、自然に囲まれた静かな家で陶芸に専念する時間がとれることは憧れだった暮らし方。

 

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一棟貸しの宿も、家族総出でリフォームしました。アダムさんが作ったテーブルと陶器で食卓を囲めるのも魅力です。(イギリス風の出窓も手作り)


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それから、アダムさんちの大事なメンバーである動物たち。以前は馬も飼っていたそうですが、ヤギ、ブタ、ウサギ、犬など、昔カイコを飼っていた小屋で飼育しています。

 

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動物たちも、毎日こんな景色を眺めながらのびのびと過ごしています。
七二会は長野市の山間地の中でもとても穏やかな地域。

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自然農法の畑。移住当初は近所の皆さまが丁寧に教えてくださり、有り難く感じつつもそれぞれ違う方法なので戸惑っていましたが、皆さまのアドバイスを取り入れ組み合わせてきたことで、ようやくアダムさんの納得のいくようなやり方ができているのだそうです。秋は芽キャベツブロッコリー、カリフラワー、大根、小松菜、白菜などを栽培。

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21年前。移住者がいなかったこの地区へ越してきた時に陽子さんは妊娠しており「外国人と妊婦」という異質な移住者だったと陽子さんは振り返ります。生まれた赤ちゃんはこの地区で30年ぶりの子供。お年寄りたちは大喜びで親切にしてくださったものの、町育ちでまだ20代後半だった陽子さんにとっては同年代のママ友がいるわけでもなく、孤独感が強くとても辛かったそうです。自分たちの育った環境とまるで違ったため、戸惑いばかりの日々は続きましたが、優しく声をかけてくださる人々に励まされながら、少しづつ地域に慣れていくことができたそうです。

 

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ここからの眺めは毎日違う景色。標高の割に迫力ある北アルプスや雲海は、ちょうど良い眺め。長野市の山間部の中でも、人々がとても穏やかな地域である七二会。この地域を守り、大事にしていきたいというアダム夫妻は、野菜から器に至るまで自ら作りだし、七二会の風土と素材を生かしたここでしか味わえない‘アダムさんちの優しい料理’とおもてなしで、多くの人を喜ばせていくのだろうと思いました。

 

 

 

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