信州農ある暮らしお宅訪問ブログ

長野県内の‘農ある暮らし’実践者を取材しご紹介します。また‘農ある暮らし’の魅力を様々な角度からお伝えするブログです。

File17“人と人とが支え合い守り受け継ぐ集落”小谷村 藤原 真弓さん

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白馬山麓を望む小谷村伊折地区の真冬の特産品‘ゆきわりキャベツ’等を生産する農業生産組合と農山村体験交流施設を運営している藤原真弓さんをご紹介します。

 

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1月下旬。今年はおおよそ70cmの厚みの雪の下に、キャベツが眠っていました。
多い年は2mほど積もることもあるそうですが、近年は降雪が少なくて困ることも。今年については、昨年12月に積雪があり1/6から収穫がスタート、例年2月下旬頃まで収穫・出荷が続きます。


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目印の棒を頼りに、バックホーで粗方の雪をどかした後は、スコップを使って雪を掘り、一株一株手作業で収穫してゆくため、時間がかかります。この日は、地域おこし協力隊員のみなさんや、お知り合いがお手伝いに来ていて賑やかでした。

 

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東京出身の藤原真弓さんは、小谷村の旅館に働きにきたことがきっかけでご主人と出会い、23年前にここに嫁いできました。子育ての傍ら、農業生産や地域の活性化に貢献。移住アドバイザー、農業女子としても、小谷の魅力、農業や里山の暮らしの魅力を広めるなど、精力的に活動されています。

 

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 小谷村では、昔からこのようにして雪中キャベツを作っていましたが、作業が大変な上に普通栽培のキャベツ同等の値段でしか売れなかったため、一度は生産をやめてしまったのだとか。しかし、伊折の土地は雪中キャベツの栽培に適していることから、真弓さんのお義父さまが16年前に伊折生産組合を立ち上げ伊折のブランドとして復活させました。その後、ゆきわりキャベツのおいしさや価値がメディアにも取り上げられるようになり、次第に皆さまから注文を受け、通常キャベツの数倍の価格で売れるようになっていくと、生産する人が増え、今では小谷村自慢の真冬の特産品となったわけです。

 

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雪の中で、キャベツの硬い芯を包丁で切るのは、なかなか至難の業! 

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7月中旬に種まきをし、ハウスの中で育苗、その苗を8月の上旬頃に定植し、さらにじっくり4か月ほどかけて収穫の時を待ちます。これだけでも、普通のキャベツに比べたら、はるかに時間と手間をかけているわけですが、小谷の雪中キャベツは「雪中貯蔵」でなく「雪中栽培」。雪の下では0℃以下になることはなく、根つきのキャベツは凍り付かないように、でんぷん質を糖に変えて蓄え、驚くほど甘く瑞々しいキャベツとなります。

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極寒の日には、雪の中からキャベツを地上に出した途端、葉がパリパリ凍ってしまうこともあるそうで、人間にとっても過酷な真冬の農作業。

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とにかく生で食べれば、そのお菓子のような甘さに驚きます。また加熱してみると、また通常キャベツとは雲泥の差。甘味があって、とろけていきます。

 

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出荷先は、豊洲卸売市場、都内のレストラン、松本の市場、学校給食他、個人宅へ贈答品、ふるさと納税品としての発送も行っています。発泡スチロールの箱に、雪と共にパッケージした贈答品は、雪の降らない地域にお住まいの方へのギフトにも人気があるそう。通常2~2.5kgですが、時に4.5kg越えの大物も現れます。

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真弓さんのお義父様はゆきわりキャベツの生産以外にも、元気で多才なおばあちゃんたちの活躍の場を集落内に作り、先人から伝わる文化や技術の継承、地域の活性化につなげたいと、中山間地の補助金を利用し、築150年の古民家をリノベーションし農山村体験施設“ゆきわり草”を造ろうと動き始めましたが、惜しくも、“ゆきわり草”の完成を見届けることなく他界。その後は真弓さんが、その意志を受け継ぎ、山菜採り、ゆきわりキャベツやミニトマトの収獲などの農村体験、布ぞうり作りや藁細工などの手仕事体験、郷土料理や一日一組限定の宿泊など、ここならではの心のこもったメニューで、村外の人に、この村の良さを知ってもらいたいと、もてなしています。

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県外から来たからこそ、この集落の魅力や自然の豊かさに魅了され、お義父さまの想いに共感できたのではないしょうか。小さな集落に嫁ぐことは容易ではないはずですが、持ち前の元気な明るさと、人を先導する力や人が自然と集まってくるような力を持つ真弓さんだからこそ、こうして充実した日々を過ごせるのだと感じました。今後は、余っている農地を活用してベリー類やハーブの栽培なども手がけ、体験メニューを増やしたいと楽しみな夢も語ってくださいました。

 

 

 

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